松たか子の歌声にある包容力、脚本家・坂元裕二が引き出す魅力|にゅーじっく

2018年01月23日

松たか子の歌声にある包容力、脚本家・坂元裕二が引き出す魅力

1: 名無しさん 2018年01月23日 06:30:02 ID:0.net

昨年大みそかに放送された第68回NHK紅白歌合戦に18年ぶりに出場した松たか子。連続テレビ小説『わろてんか』の主題歌「明日はどこから」を澄んだ歌声で歌い上げ、視聴者の心を引き込んだ。そんな彼女の魅力を引き上げている作家の一人に脚本家の坂元裕二がいる。

松の作品としてはデビュー曲「明日、春が来たら」の歌詞を手掛けた坂元は昨年、松が出演したTBS系ドラマ『カルテット』で脚本を担当。松は歌手デビュー20周年ということもあり、この機会にお願いできたらと考え坂元に作詞をオファーしたという。映画『嘘を愛する女』(1月20日公開)主題歌「つなぐもの」で再び歌詞を手掛けることになった。

2002年以降、自身の作詞作曲が目立つ松だが、坂元による歌詞によってまた別な魅力が引き出されることが期待される。今回は2人の観点から松の魅力に迫ってみたい。

デビュー曲からヒット「明日、春が来たら」

松たか子のデビュー曲は鮮烈だった。ファーストシングル「明日、春が来たら」がリリースされた1997年はCDバブル期。いわばJ-POP激戦の時代だった。その時代に、“女優の松たか子が歌う楽曲”というインパクトを与えただけでなく、「明日、春が来たら」は一つの名曲として高く評価された。

歌手デビューを飾ったその年、『第48回NHK紅白歌合戦』に出場。華々しいデビュー年を最高の形で締めくくった。1999年の『第50回―』で披露した「夢のしずく」以来、18年ぶりに出場した昨年の『第68回―』。このステージには今年9月に引退する安室奈美恵が出場したが、その安室や福山雅治も「明日、春が来たら」をカバーしている。

この楽曲の作詞を担当したのは、脚本家としてドラマ『東京ラブストーリー』や「ラストクリスマス」(いずれもフジテレビ系)を手掛ける坂元裕二。坂元は脚本家としてだけではなく、TMNや織田裕二の楽曲の作詞を手がけるなど、作詞家としても活躍している。

その坂元は、松のデビュー曲から20年後の2017年に、大ヒットとなったテレビドラマ『カルテット』(TBS系)の脚本を手がけ、松と“再会”を果たした。松は劇中でヴァイオリン奏者の巻真紀(のちに早乙女真紀)を演じた。坂元裕二×松たか子のタッグはプロデューサーの希望だったという。その松は、ドラマ内での限定ユニット・DoughnutsHole(松たか子・満島ひかり・高橋一生・松田龍平)として「おとなの掟」(作詞・作曲は椎名林檎)を歌っている。

20年後もヒット作品で巡り合う2人

松たか子と坂元裕二、この2人のマリアージュは、多くの人を喜ばせる化学反応を潜んでいるように思える。「明日、春が来たら」で松のデビューを支えた坂元は、20年後にドラマ『カルテット』で再び巡り合う。

その間の20年で「明日、春が来たら」は、春ソングとして毎年同じ時期に1度は耳にする程のスタンダード楽曲となっていた。「春ソングといえば?」というランキングには、毎年トップ10内に入るほどだ。

その2人の化学反応の背景には、普遍的な作品を生み出すという相性が挙げられるだろう。「明日、春が来たら」は、20年の間で数々のアーティストによりカバーされ、カラオケで大勢の人達に親しまれ、国民的な楽曲にまで育ったことがそれを証明された。『カルテット』は、2017年のTVドラマとして爆発的な人気を誇る名作となった。

松たか子の歌の魅力、坂元裕二の綴る歌詞との相性とは?

松の歌は、女優として、人間性としても、清純で正統派。色にたとえるなら「白」。坂元が書く歌詞のように、表題音楽的な色彩で成り立つ言葉の数々は、松の「白」という真っすぐで女性的な歌声には抜群の相性であるということを挙げておきたい。

これが例えば「歌い上げる」ようにエモーショナルな歌唱のシンガーが、燃え上がるような「赤」といった色彩で「明日、春が来たら」あるいは「つなぐもの」を歌った場合、真っすぐに人の心には届かないのでは、と考える。

昨年の『第68回NHK紅白歌合戦』で歌唱した連続テレビ小説『わろてんか』の主題歌で、約8年ぶりとなるシングル「明日はどこから」でも、松の優しさと力強さが同居した包容力のある歌声は、多くの人の心に響いた。筆者もリハーサルで聴いた生の歌声に癒された一人だ。

松の純真無垢な声の“キャンバス”があってこそ、脚本家という様々な色彩を使いこなす者が表現する言葉を採光し、100%以上の感情として広げることができるのであろう。その点は、「松たか子の歌は、好みがさほど分かれない」という、普遍的な魅力に繋がるのではないだろうか。

「意図や感情をフルに取り入れ、更に広げる」という彼女の能力は、女優としても、歌手としても秀逸であり、それは、楽曲のヒットやドラマのヒットに繋がっていることが窺える。

聴く者の体験や心情を呼び起こす歌詞

20年前のデビュー曲の作詞、そして現在の楽曲の作詞と、松と坂元は縁深い。長年の2人の関わりの中で生まれた化学反応や、運命的なめぐり合わせは、ドラマにしろ映画にしろ、そして松が歌う楽曲と、2人の関係には“普遍的な作品を生み出す”という運命があるような感覚すらある。

先が読めない展開、誰もが驚く伏線が散りばめられた様々な作品を手がけた坂元の、「意図的な20年越しの巡り合わせ」だったら本当に驚かされる。何しろ、「明日、春が来たら」のリリース日と、TVドラマ『カルテット』最終回の日である3月21日は、1997年〜2017年と20年ジャストの年月なのだ。

松と坂元の20年越しの巡り合いは、1997年のデビュー曲「明日、春が来たら」に始まり、TVドラマ『カルテット』へと繋がり、最新アルバムの楽曲「つなぐもの」、1月20日公開の映画『嘘を愛する女』主題歌として続いた。具体的な情景が浮かび、聴く者の体験や心情を呼び起こす歌詞は、松を主人公として配役するよう。それは、20年前の「明日、春が来たら」も現在の「つなぐもの」も共通している。

いずれにせよ、「松たか子×坂元裕二」の化学反応は、どれも普遍的な作品を生み出している。坂元裕二の作品に共通する「本質を突く」という点が反映されている。両者を長年つなぐものは、人と人との縁、ということもあるだろうが、2人を“つなぐもの”として大きいのは、「松たか子と坂元裕二の化学反応」なのかもしれない。2人が巡り合った今後の作品にも注目が集められるだろう。【平吉賢治】

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