今期、もっとも観るべきドラマは? ドラマ評論家が選ぶ、秋ドラマの注目作ベスト5|にゅーじっく

2017年10月22日

今期、もっとも観るべきドラマは? ドラマ評論家が選ぶ、秋ドラマの注目作ベスト5

1: 名無しさん 2017年10月22日 14:12:47 ID:0.net

10月23日から放送開始する『民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜』(フジテレビ)で、今シーズンのテレビドラマはほぼ出揃う。各局、力の入った作品が並ぶが、本当に観るべきはどのドラマだろうか。ドラマ評論家の成馬零一氏に、秋ドラマから注目すべきタイトルのベスト5を選んでもらった。

参考:今期No1ブレイク俳優・高橋一生の異端ぶり

1.ユニバーサル広告社(テレビ東京)

テレビ東京の金曜夜8時枠という『釣りバカ日誌』などを放送している今のテレビドラマの中ではかなり辺境のドラマ枠の作品なのだが、そこで人気脚本家の岡田惠和が書くとどうなるのだろうか?と思っていたが、予想外に面白かった。

沢村一樹、和久井映見、三宅裕司、やついちろうといった、つい最近まで、岡田が手がけていた連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)に出演していた俳優が出ているため、『ひよっこ』の現代編を見ているかのようだ。よくこんなキャスティングをしたなぁと感心する。広告の力で寂れた商店街を立て直すという話は極めて現代的で、どう展開するのか続きが楽しみだが、パワハラ、セクハラ発言をすると社員にご飯を奢らないといけないというような、現代的なディテールの方が面白い。

2.奥様は、取扱注意(日本テレビ)

在日コリアンの若者の青春を描いた『GO』で直木賞を受賞し、『SP』や『CRISIS』(フジテレビ系)などといったポリティカルな要素が強いアクションモノに定評のある金城一紀の最新作なのだが、綾瀬はるか主演のドラマを水10でやると知った時は、このミスマッチ感がどういう方向に向かうのかと、期待半分、不安半分だった。しかし、話数が進むにつれてどんどん面白くなっている。かつて某国の工作員(時節柄、どうしても北朝鮮を連想してしまう)だった主婦が、女を苦しめるDV男をアクション(暴力)でやっつける。という第一話をみた時は、ちょっと安易すぎるんじゃないかと思ったが、話が進むにつれて、今の日本社会の根底にある男尊女卑的な社会構造の中で苦しめられている女性の苦しみを掘り下げている。

特にママ友いじめを通して女VS女を描くと見せて、実はどっちも被害者だったという結論を見せた3話は秀逸だった。

ベースにあるのが弱者の連帯ではなく、強者の孤独なのが見ていて気持ちがいい。今までとは違うステージに降りてきた金城にとっての新境地となりそうだ。

3.監獄のお姫さま(TBS)

脚本の宮藤官九郎を中心に、金子文紀ら『木更津キャッツアイ』などでドラマシーンを塗り替えたクドカンドラマのスタッフが再結集して今一番勢いのある火10で書くということで、本来ならベスト1に推しても良いのだが、評価はまだ保留という感じ。作品がパズル的に作られていて、一話を見ただけだとよくわからないところが多かった。こういう大胆な構成が許されているのはクドカンブランドに対する信頼があるからだろう。おそらく、全話見終わらないことには物語の全貌がはっきりしないのではないかと思う。

子どもの誘拐事件に端を発して、ある事件の真相がわかっていき、そこで中年女性を中心としたチームと男の戦いが描かれるという展開は黒澤明の映画『天国と地獄』と市川崑の映画『黒い十の女』を足して2で割ったような展開だが、最終的な評価は、2話以降明かされる、犯罪を決行した中年女性たちの物語と伊勢谷友介が演じる社長を通して男社会の闇が描けるかどうかだろう。女同士の共同体が、悪い男を懲らしめるというドラマ構造が『奥様は、取り扱い注意』と同じで、どちらもポップに描こうとしているだけに、比較しながら見ると面白いのではないかと思う。

4.先に生まれただけの僕(日本テレビ)

『HERO』(フジテレビ系)等で知られるヒットメーカーの福田靖が脚本を担当、チーフ演出は『Mother』や『ゆとりですがなにか』などで知られる水田伸生が担当している異色の学園ドラマ。福田の脚本はポップな明るさの中にピリッとした毒が入っている明るい社会派という感じで、印象としては病院のマネジメントという視点から新しい医療ドラマを作った『DOCTORS』(テレビ朝日系)の高校版という感じで本来なら気軽に見れそうなのだが、ここにハードで重厚な絵作りに定評のある水田の演出が加わったことで暗鬱とした緊張感が生まれているのが面白い。この軽さと重さを同時に背負っているのが主演の櫻井翔で、商社マンから校長になった主人公の経緯と、終盤で語られる奨学金のエピソードは説得力があった。

5.ぼくは麻理のなか(フジテレビ)

『惡の華』(講談社)などの作品で思春期の少年少女の焦燥感を描かせたら右に出るものがいない押見修造の漫画をドラマ化したものだが、意外な拾い物という感じで見応えがあった。アニメ映画『君の名は。』などで定番の男女入れ替わり物で彼女はおろか友達すらいないひきこもりの大学生が、憧れていた女子高生と入れ替わるという物語だが、話は陰鬱で『君の名は。』のような楽しい感じはまったくない。

出演女優が素晴らしく、グラビアアイドルとしても人気の主演の池田エライザが演じる女子高生もエロくて良いのだが、彼女の正体にいち早く気づいて偏執的につきまとうメガネ女子高生を演じる中村ゆりかがめちゃくちゃ可愛い。今後は入れ替わった理由を探るというミステリー的な方向に進むのだが、彼女たち二人がエロくて可愛く撮れている時点でかなり満足している。(成馬零一)

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